Windows XP Mode 仮想 USB デバイス

2010/07/01
★★★

前回の記事に続いて Windows XP Mode の USB 接続、シームレスモード (Seamless Mode) について説明する。

対象とする USB デバイスは、W-ZERO3[es] (型番: WS011SH) のオプションとして販売されていたワンセグチューナー: PIX-ST060-PU0 を使用する。

このワンセグチューナーは、W-ZERO3[es] に USB で接続し、ワンセグを視聴することができる。さらには、PC にも USB 接続可能で、W-ZERO3[es] を使わなくなった後でも PC で利用できると考えたのが購入の動機だった。しかしながら、ワンセグ視聴用のアプリケーション "StationMobile for USB" が 32bit OS のみの対応となっており、直接 Windows 7 x64 環境でセットアップを実行することすらできない。

StationMobile for USB セットアップ実行失敗

そそこで、解決方法として、Windows 7 の Windows XP Mode を活用し、仮想 Windows XP 上にワンセグアプリケーションをインストールし、さらに、ホストマシン (Windows 7 x64) に物理的に USB 接続されたワンセグデバイスを仮想 OS で検出、Windows 7 x64 から、シームレスモード (Seamless Mode) でワンセグアプリケーションを起動し、ワンセグを視聴可能な環境を構築する。

ポイントとしては、Windows 7 の Windows Virtual PC で新たに追加された機能であるシームレスモード (Seamless Mode) 、仮想 USB を利用することだ。

まず、以下の手順を実施する前に、Windows XP Mode のセットアップ を済ましておく。 

[スタート] -> [すべてのプログラム] -> [Windows Virtual PC] -> [Windows XP Mode] を選択し、仮想 Windows XP を起動する。

仮想 Windows XP の [マイ コンピュータ] 内を参照すると、[その他] にホスト OS のローカルディスクがマップされていることがわかる。また、DVD ドライブもホスト OS の DVD ドライブにマップされている。

仮想 Windows XP から、参照可能な場所に "PIX-ST060-PU0 ソフトウェアCD-ROM" の内容をコピーする。もちろん、ホスト OS の DVD ドライブに同メディアをセットしてもよい。

PIX-ST060-PU0 ソフトウェア セットアップを起動する。

PIX-ST060-PU0 ソフトウェアCD-ROM menu.html

StationMobile for USB セットアップ

セットアップ ウィザードに従いセットアップを完了する。

StationMobile for USB セットアップ完了

仮想 OS を再起動する。

ホスト OS の USB ポートに PIX-ST060-PU0 を接続する。この時、ホストマシン上では、USB 接続時にドライバーのインストールに失敗する。

PIX-ST060-PU0 ドライバーインストール失敗

つづいて、仮想 OS の [USB] メニューに [PIX-ST060] と表示されていることを確認する。

Windows XP Mode USB メニュー

仮想 OS の [USB] -> [PIX-ST060 接続] を選択する。

ホスト OS でドライバーの自動インストールが開始し、USB 仮想化スタブ ドライバー がインストールされる。

USB 仮想化スタブ ドライバー インストール

同時に仮想 OS 側でもドライバーの自動インストールが開始し、ドライバーが正常にインストールされる。

PIX-ST060 デバイスマネジャー

仮想 OS の [スタート] -> [すべてのプログラム] -> [PIXELA] -> [StationMobile for USB] を選択し、StationMobile を起動する。

StationMobile の起動時に「リモートデスクトップの使用中は映像、字幕、データ放送、音声は出力されません。」とインフォメーションダイアログが表示される。

StationMobile 起動時警告

チャンネルスキャンを行い、視聴を試みるも、受信はできているようだが、前出のインフォーメーション ダイアログの通り、映像、字幕、データ放送、音声が出力されない。

メッセージ通りに解釈すれば、仮想 OS がリモートデスクトップとして認識されていると考えられる。

次にシームレスモード (Seamless Mode) で、StationMobile を起動する。

[Windows XP Mode] メニューの [Ctl + Alt + Del] を選択、[シャットダウン...] より仮想 OS をシャットダウンする。

ホスト OS の [スタート] -> [すべてのプログラム] -> [Windows Virtual PC] -> [Windows XP Mode アプリケーション] -> [PIXELA] -> [StationMobile for USB] フォルダ、フォルダ以下に [StationMobile for USB (Windows XP Mode)] ショートカットが作成されていることを確認する。

シームレスモードショートカット

ホスト OS の [StationMobile for USB (Windows XP Mode)] ショートカットを選択し、StationMobile を起動する。この時、ショートカットを選択後にホスト OS のタスクバーに Windows XP Mode アイコンが表示されるので、このアイコン上で右クリック [USB デバイスの管理] メニューを選択する。

USB デバイスの管理 メニュー

[Windows XP Mode - USB デバイスの管理] ダイアログが起動する。

USB デバイスの管理 ダイアログ

[PIX-ST060] を選択し、[接続] ボタンをクリックする。

しばらくすると、StationMobile が起動する。

しかしながら、やはり、StationMobile の起動時に「リモートデスクトップの使用中は映像、字幕、データ放送、音声は出力されません。」とインフォメーションダイアログが表示され、動作は可能なものの、ワンセグを視聴することはできない。

これは、仮想 OS 上で StationMobile は正しく起動しているが、仮想 OS 及び仮想アプリケーション ( ここでは、StationMobile) をホスト OS 上に表示するため、Windows ターミナルサービス (リモート デスクトップ) 系のテクノロジである RemoteApp が利用されているからだと推察される。試してはいないが、ネイティブに Windows XP + StationMobile がインストールされた環境へリモートデスクトップ (RDP) で接続し、StationMobile を起動すると同様の挙動が確認できるだろう。

結果、StationMobile for USB の著作権がらみの仕様により、Windows 7 x64 + Windows XP Mode では、PIX-ST060-PU0 でのワンセグ視聴はできない。

Windows XP Mode は、ホームユースのアプリケーションやデバイスの互換性は期待しない方が良いだろう。Windows XP をターゲットに開発された業務アプリケーション等ビジネスユースでの活用が期待される。

以下から、Windows Virtual PC の各種ドキュメントが参照可能だ。

Windows Virtual PC: Documentation and videos

コメント (0)

コメントの投稿