この記事の執筆時点では、SharePoint Server 2010 のベータ版が公開されている。少々気になることが、2010 版では、表記名から、Office という名称が消えてしまっている。

ベータ版サイトに紹介されている SharePoint Server 2010 製品は、以下の2つ。

  1. Microsoft SharePoint Server 2010
  2. Microsoft SharePoint Server 21010 for Internet Sites

"SharePoint Server 2010" は、一般的なパッケージで、Standart, Enterprise 等の複数のエディションで提供されるだろう。2007 でもそうだったが、上位のエディションに機能制限をもうけたものが、下位のエディションとなる。

"Microsoft SharePoint Server 21010 for Internet Sites" は、以前のバージョンで、"Microsoft Office SharePoint Server 2007 for Internet Sites" として提供されていたものの後継版だろう。企業内のユーザーだけではなく、インターネットに公開し、企業外のユーザーの利用も対象としている。Saas のプロバイダも "Microsoft SharePoint Server 21010 for Internet Sites" を利用することになるだろう。

ハードウェアの最少必要要件は、以下の通り。出典として、Determine hardware and software requirements (SharePoint Server 2010) を参照した。

Component Minimum requirement
PProcessor :
    64-bit, four-core, 2.5 GHz minimum per core
RAM:
    4 GB for developer or evaluation use
    8 GB for single server and multiple server farm installation for production use
Hard disk:
    80 GB for installation
    For production use, you need additional free disk space for day-to-day operations.
    Add twice as much free space as you have RAM for production environments.

CPU は、Exhange Server と同様に 64bit だけが対象となっている。しかも、コア数が 4 で、2.5 GHz。メモリは、評価、開発では、4GB があれば良いとのこと。ハードディスク条件は、さほど問題とならない。

新規にハードウェアを購入して本番環境を構成する場合には、これらのスペックを満たすことは問題にならないだろうが、開発環境、評価環境を構築する場合には、非常に敷居の高いスペックとなっている。

通常、独自の Web パーツを開発する場合、前回までのバージョンでは、開発用 PC 一台に、MOSS、Visual Studio をインストールし、デバック実行による MOSS プロセスのアタッチ、トレースの恩恵をうけることができた。SharePoint 2010 で開発行うためのガイドラインがきっと提供済みか、提供されると思うが、64bit コア数 4 のCPU を搭載した高スペックの開発環境が必要とされることは間違いないだろう。

MOSS フィットギャップ用のデモ環境、レビュー用環境、結合テスト用環境の環境構築には、Virtual PC、Virtual Server、Hyper-V を活用し、スナップショットによるフレキシブルな環境の展開、収束を実現できた。これらの環境も SharePoint 2010 の必要要件を考えると CPU、メモリの要件が非常に厳しくなる。特に CPU について、"Hyper-V" では、ゲスト OS に割り当てる論理 CPU の数を変更することができるが、4 コアを割り当てるとなると、ホスト OS には、より多くの CPU、コアを搭載する必要がある。

SharePoint 2010 で開発を行う場合、エンジニアの利用する環境を整備するのには、それなりの出費が必要となる。(ただし、初期投資は大きくつくが、故に、競合も減り、数回のプロジェクトをこなせば、十二分に回収できると考えられる。)

また、評価環境、レビュー用環境、結合テスト環境の構築するにあたって、"Hyper-V" などの仮想環境を利用する場合は、CPU の搭載個数に注意すべきだろう。

ソフトウェアの最少必要要件の対象は、以下に分類される。

  1. Database server in a farm
  2. Single server with built-in database
  3. Front-end Web servers and application servers in a farm

評価用の環境を手っ取り早く構築したい場合は、"Single server with built-in database" 構成(built-in database とは、SQL Server 2008 Express の事)にし、一台環境を構築すればよいと思われるが、この構成では、ドメインコントローラー (DC) と同居できないという制約があるため注意する。DC も含めて一台環境を構築する場合は、"Database server in a farm" 構成を行う。

"Database server in a farm" の必要条件は、以下の通り。

" The 64-bit edition of Microsoft SQL Server 2005 with Service Pack 3 (SP3) with Cumulative update package 3 for SQL Server 2005 Service Pack 3"
もしくは、
"The 64-bit edition of Microsoft SQL Server 2008 with Service Pack 1 (SP1) and Cumulative Update 2 with Cumulative update package 2 for SQL Server 2008 Service Pack 1"

共通しているのは、やはり 64bit 版が必要ということ。

あとは、バージョンの違いだろう。要件としての SQL Server のバージョンは、"Microsoft SQL Server 2005 with Service Pack 3" が下位に位置する。"Microsoft SQL Server 2005 with Service Pack 3" をサポートする OS は、Windows 2000 Service Pack 4, Windows 7, Windows Server 2003, Windows Server 2008, Windows Server 2008 R2, Windows Vista, Windows XP が対象となるため、サーバーファームのデーターベースとして、SAN を利用している場合等、データーベースをホストしている OS を無理にアップグレードする必要はない。ただし、最新のサービスパックをあてる必要はあるだろう。

次回は、評価用のスタンドアロン環境を構築する方法を説明する。

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