先回の記事では、マシンが熱中症にかかってしまったことを紹介した。
今回の記事では、省電力クアッドコアで、パーソナルユース並みの静音性を保ちつつ、酷暑と表現される今年の夏を乗り切り、残暑も余裕、ML115 G5 のマシン構成を紹介する。
以下が構成パーツ。静音 + 省電力クアッドコアを実現するために必要なものは、" 必須パーツ " と表記した。
- ML115 G5 本体
- AMD AthlonII X4 605e AD605EHDGIBOX (必須パーツ:
この
AMD AthlonII X4 605e
は、TPD
が 45 W で省力化になる。他のクアッドコア CPU と比較して、圧倒的に TPD 値が低い。参考として、標準付属の AMD Athlon 1640B
のTPDは、同一の 45W。)
- CORSAIR 水冷CPUクーラー CWCH50-1
(必須パーツ: 最強の静音ソリューション。)
- オウルテック オウルテックオリジナルケース用ファン 超静音9cm OWL-FY0925L
(必須パーツ: リアファンを静音化するため標準のものを換装する。)
もしくは、以下の組み合わせ。12cm ファンを 9cm に変換して設置する。(当環境は、以下の組み合わせで構成した。)
オウルテック オウルテックオリジナルケース用ファン 静音12cm OWL-FY1225L + ZAWARD ファン口径変換 ZCG-7010
+ - アイネックス ファン用電源延長ケーブル WA-094 × 2個
(推奨パーツ: 水冷 CPU クーラー、リアファンのコネクタを加工したくないため必要。この電源ケーブルのコネクタを加工し、 水冷 CPU
クーラー、ファンへバイパスする。)
- アイネックス PWMファン用二股電源ケーブル WA-095
(必須パーツ: マザーボードのリアファン用電源から、リアファン + 水冷 CPU クーラー付属のラジエーター用ファンの両方の電源を供給させるため。)
- 日立 HGST 3.5インチHDD(SerialATA)/容量:2TB/回転数:7200rpm/キャッシュ:32MB HDS722020ALA330 ×
4個 (任意)
- SANWA SUPPLY L型シリアルATA2ケーブル 0.3m TK-SATA-03LLA ×
3個 (任意: 増設する HDD 数個分必要、一本は標準設定で付属のものを利用する。)
- メモリ 2G × 4 (任意)
パーツの構成手順は、ML115 G5 へ水冷 CPU クーラー CWCH50-1 を設置する部分にフォーカスして紹介する。
以下が今回使用する
CWCH50-1
のパッケージ。
この製品は、外装に以下の日本語のシールが張られているのみで、説明書等、すべて外国語で表記されている。(外国語と表現したのは、説明書メインの言語が英語ではなくドイツ語で記述されているため。)
以下のように数種類のソケットに対応したパーツが同梱されている。
ML115 G5 では、"INTEL 775" ソケット用のパーツを使用する。
"AMD AM2/AM3" ソケット用のパーツではないことに注意する。
マザーボードの背面にバックプレートを設置する必要があるため、ML115 G5 のケースから、マザーボードを取り外す。
(*)
この時、マザーボードから、可能な限りのコネクタ、デバイスを取り外す必要があるが、後で接続し直せるようにメモなり、デジカメなりで、エビデンスを取得しておく。
マザーボードを取り外した後、ケース側に CPU ファン固定用のナット型の受けネジが残るためこれを、ラジオペンチなりで取り外しておく。
バックプレートを以下の手順で設置する。
クイックスタートガイドとは別に、主だったソケット別の設置手順書が別途同梱されているので、"INTEL LGA 775"
を選択し、記載されている手順にしたがいバックプレートを設置する。
この時、部品 [H] を設置する場所は、INTEL LGA 775 の手順書に記載されている場所ではなく、バックプレート自身に "775"
と刻印されている個所に設置する。
部品 [G] の両面接着で、マザーボード裏の CPU ファン固定用のネジ穴にバックプレートの 部品 [H] のネジ穴が合致するよう仮止めする。
以下のようにリテンションリングに部品 [F] を装着しておく。
リテンションリングをマザーボードおもて面に設置する。この時、部品 [I] を完全に固定しないように注意する。
(*) CPU クーラー側にグリスがついているので、既存のCPU
グリスは除去しておく。
そして、ついに 水冷 CPU の登場。ルックスは、帝国の逆襲。
ML115 G5 のカスタマイズを繰り返した末、ダークサイドに入ってしまったようだ。
以下のようにラジエーターに付属のファンを設置しておく。(後述するが、ケースに固定しない。)
説明書通りのエアーフローにする。
付属ファンのエアーフローの向きは刻印されている。
通常では、付属のファンをラジエーターとともにリアファンの設置位置に設置するが、ML115 G5 のリアファンは、9cm 仕様のため、そのままでは、設置できない。
さらには、ML115 G5 のリアファン エアフローの設計は、排気だが、設置できたとしても吸気となり、エアフローが逆になってしまう。
よって、付属のファンをラジエーターとともにフロント部に配置する方法が最も有効であると結論した。
検証として、強引にリアファン位置に付属ファン + ラジエーターを設置して動作させてみた。エアフローは、吸気。
CPU
の冷却は、30 deg. C 前半で推移し、充分な冷却効果を認識できた。
「Core
Temp(http://www.alcpu.com/CoreTemp/)」での計測でも、30 deg. C 前半で安定して推移していることを確認。
と、問題なさそうなので、この状態で、ケースカバーを付けて、より実用環境に近い状態での検証をおこなったとたん、速攻ダウン。
CPU 冷却は問題なさそうなので、フロント周辺での温度が関係していると考えた。
つまり、リアファンを吸気にしたことにより、エアーフローが、通常とは逆の、リアからフロントへの流れに変わり、ケース内で充分に温められたエアーが、ケースフロント部へ排出され、フロント周辺サーモセンサーがこれを検知、異常値であると判断され、強制ダウンに至っていると推察した。
ゆえに、ML115 G5 のエアーフロー設計に準拠して、水冷 CPU クーラー付属ファンをラジエーターとともにフロント部に配置することとした。
つまり、フロントに水冷 CPU 付属ファンを設置し、吸気にし、リアファンを
オウルテック オウルテックオリジナルケース用ファン 静音12cm OWL-FY1225L +
ZAWARD ファン口径変換 ZCG-7010
で換装し、リアから排気するようにする。
説明を本流に戻し、水冷 CPU クーラーの設置手順の続きを紹介する。
リテンションリングを設置後は、マザーボード背面を触ることはないため、マザーボードをケースに設置しなおす。
マザーボードをケースに設置する際に、CPU ファン、リアファンの電源コネクタに、アイネックス ファン用電源延長ケーブル WA-094
を接続しておく。
(*) ML115 G5 のマザーボードのファン電源供給コネクタは、PWM の独自形状なので、アイネックス ファン用電源延長ケーブル WA-094
側のコネクタの干渉する突起部分をニッパーで切り取ってやる。アイネックス ファン用電源延長ケーブル WA-094
を使わない場合は、ファン側の電源コネクタを同様に加工する必要がある。
リテンション リングに CPU クーラーを設置する。前述にもあるが、リテンション リングを完全に固定してしまうと、高さが足りないため、CPU
クーラーを設置できない。リテンション リングのネジをゆるめ、マザーボードとリテンション リングの間に遊びをつくり、調整しながら、CPU
クーラーを左に回し、リテンション リングに固定する。固定後、適度にネジをしめておく。
リアファンをオウルテック オウルテックオリジナルケース用ファン 静音12cm OWL-FY1225L +
ZAWARD ファン口径変換 ZCG-7010
で換装する。
リアファンのエアフローは、排気。
ラジエーターと付属ファンをフロントに設置する。設置方法は任意。(当環境では、結線バンドで固定した。)
エアフローは、フロントから吸気にする。
CPU ファン、リア ファン電源をを以下のように配線する。
ポイントは、CPU クーラー付属ファンを アイネックス PWMファン用二股電源ケーブル WA-095
の 3pin と接続すること。
4pin 側に接続すると、PWM パルスが検知され、回転数が足りないため、システムが起動しない。CPU クーラー付属ファンは、電力を供給するのみの 3pin
側に配線する。
ファン電源を配線後、すべてのケーブル、パーツを取り付ける。
システムを起動し、サーモセンサーの温度を確認する。
以上で、手順は完了。
水冷式静音 + 省電力クアッドコア構成への投資は、概算で、\26,065.-。
AMD AthlonII X4 605e AD605EHDGIBOX:
\12,980.-
CORSAIR 水冷CPUクーラー CWCH50-1:
\8,870.-
OWL-FY1225L +
ZCG-7010:
1,029 + 900 = \1,929.-
アイネックス ファン用電源延長ケーブル WA-094
× 2個: 762 × 2 = \1,524.-
アイネックス PWMファン用二股電源ケーブル WA-095:
\762.-
計: \26,065.-
さらに、オプションの、HDD 2T × 4 構成への投資は、概算で、\85,299.-。
(*) 増設用メモリ費用は含まれていない。
日立 HGST 3.5インチHDD(SerialATA)/容量:2TB/回転数:7200rpm/キャッシュ:32MB HDS722020ALA330 ×
4個 (任意): 20800 × 2 = \83,200.-
SANWA SUPPLY L型シリアルATA2ケーブル 0.3m TK-SATA-03LLA
× 3個: 699 × 3 = \2,099.-
計: \85,299.-
HDD 追加のコストと比較すると、水冷式静音 + 省電力クアッドコア構成費用に割安感を感じる。
様々な寄り道をして最後にたどりついたこの構成。1か月位使い続けているが、非常に安定している。
この猛暑の中、あえて室温 32 deg. C 位で、動作をさせているが、610-Temperatrue Violation Detected は、まったく発生していない。
フォースと共にあらんことを (May the Force be with you!)
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